西行庵改修工事

腰掛待合
柱、桁:錆丸太(桧またはアテ(アスナロ))
普通は伐採をしない時期(5月末~6月上旬)に伐採し、山で皮を剥ぎ、そのまま山でしばらく寝
かせてサビ(天然カビ)をつけさせる。そのあと山から出材し磨き上げロウ引きで仕上げたもの
垂木:白竹と香節(こぶし)
→香節(こぶし):山師が山でなるべく曲がりの少ない太さもそろったものを伐採してくる。時
間をかけて自然乾燥させつつ曲がりを直す。きつい曲がりは熱源に当ててまっすぐに矯正する
屋根:杉皮葺きの上に青竹押さえ男結び



皆如庵大屋根
屋根:椹杮葺き(さわらこけらふき)
→杮葺き:茶室の場合、1尺のながさのこけら板を1寸間隔で葺くことが多い、軒先の下の部
分(軒付け)はよく切れるカンナで出先を整える。
軒裏:赤杉枌板羽重ね張り(あかすぎへぎいたはがさねばり)、白竹藤つる編み
→枌板(へぎいた):材木を割って繊維の流れを切ることなく薄い板状にしたもの。こけらも同
様である、屋根材として使う場合こけらと呼ばれる。繊維の流れを切らないので水が浸透しに
くい。表面に凹凸があるので重なり合っていても完全には密着しないので水を含んでも乾けば
水分が抜ける。完全密着していると毛細管現象で水分がいつまでも抜けなくて傷みやすい
形状:寺院と異なる「むくり」屋根の形状。一般の木造建築の場合の切妻屋根の一番端にも垂
木を設置するが、茶室、数寄屋建築の場合省略することが多い。その代わり、屋根野地材の見
えないところでテコの力で下がりにくいように補強している

皆如庵下屋庇(げやひさし)
屋根:椹杮葺き(さわらこけらふき)
垂木:芽付竹(めつきだけ)と香節(こぶし)
→芽付竹(めつきだけ):ところどころ芽がついている。竹林の周囲の自然光がよくあたるとこ
ろでしか取れない。芽のうえのへこみ部分の「ひ」も表情をつくるアクセントとなる。
軒裏:赤杉枌板くず張り
→くず張り:幅がいろいろなへぎ板をランダムに並べて重ねず底目の目地でならべていく
小舞(二本ずつペアで桁行き方向に入っている竹):女竹(めだけ)
→女竹:白竹よりも節の部分でも丸みがあって柔らかな印象をもたせる。白竹などの節はエッ
ジがきいていてキリッとした印象をもたせる
尺八竹:垂木と垂木の真ん中に入っている竹、藤つるで小舞と編み込む。


門 屋根:杉皮葺きの上に青竹押さえ男結び(未施工) 小舞:女竹、赤杉 垂木:白竹と香節 柱桁:錆丸太
